人生の道しるべ 短歌コンテスト入賞作品
人生の分かれ道
 北海道警察函館方面本部では、昨年から函館方面管内に勤務する全職員を対象に、初心に立ち返り、仕事に対する自分の「夢」や「思い」を短歌につづり、警察という仕事の価値観を再認識するため、「人生の道しるべ」短歌コンテストを行っています。昨年にも増して力作ぞろいとなっており、市民目線から警察をみてもらうため、警察内部での選考だけではなく,国際啄木学会評議員である櫻井健治氏にも特別賞を選考して頂きました。
 本年度の作品とともに昨年度の作品も掲載しますのであわせて御覧ください。








函館方面公安委員長賞
警察官 勧めてくれた亡き父に 恥じぬ自分を求め続ける
函館方面本部鑑識課 男性職員
作者の心情  人生の進路に迷いがあったとき、警察官という仕事に目を向けさせてくれた父。
 私の性格や性質を見抜いたうえでの導きか、どのような気持ちや考えを持って勧めてくれたものか、今では確かめることができない。父がいなくなって、父親の偉大さに気がついた。自分はまだまだ未熟者であった。
 なんとか父に近づくため、父が示してくれた道に恥じぬ自分であり続ける決意である。
講評  父親にあたる方の強い使命を、さらに維持して欲しいと願います。


函館方面公安委員賞
調べ官 罪を憎んで人を憎まず 心をただす道しるべとなれ
八雲警察署 男性職員
作者の心情  調べ官と対峙する被疑者の人間性まで憎んでしまうと被疑者の心に響く取調べはできず、自供も引き出せない。だから、調べ官という役割を果たす為に、人間を憎むのではなく、被疑者が犯した罪を憎んで取調べをする。警察は罪を犯した人間の心の闇に触れ、相手を理解し、相手の気持ちを正す機関であると思うので、調べ官たる者、被疑者の心を正す灯台(道しるべ)たれという意味を込めた。
 さらに短歌を詠み換えると、生身の人間を相手にする警察という職業の上司と部下の関係とも言えるもので、上司は部下の失敗を憎んでも人を憎まず、部下を育てる道しるべとならなければならない、というパワハラなどの非違事案防止の意味も込めている。
講評  人(相手)の心に寄り添うことができる人間力、それはある意味の強さであることを伝えている作品と感じました。
 正しい道へと導く「強い信念」の必要性を問われているようにも思いました。


函館方面本部長賞
助けてと 心の中で叫ぶ声 聞き漏らさない我が正義かな
せたな警察署 男性職員
作者の心情  養護学校の卒業生被害の事件捜査において、心の中で助けを求めている被害者の声を聴き漏らさないようにすることが、被害者のためであり自分の正義であるという短歌。
講評  言葉にならない痛みや、声にならないSOSに気付ける警察でありたいという思いが伝わってきました。
 真に困っている人にこそ、頼ってもらえるように、強い正義感と繊細な優しさを兼ね備えた職員が一人でも増えてほしいと願っています。


函館方面本部所属長賞
舞台裏 目立つ仕事はないけれど 陰から支え舞台を照らす
函館方面本部函館機動警察隊 男性職員
作者の心情  現場で活躍する職員の陰には縁の下の力持ちとなる職員の存在を表現した。
講評  チーム函館の精神を象徴する作品だと思い選んだ。
 留置場勤務員や会計、装備の職員の見えない頑張り、後方支援があって事件の検挙や業績の向上といったものに繋がって、組織が良い方向に運営できていることを表している。


函館方面本部所属長賞
しくじりを 隠さず話してリカバリー 批判受けるは人生の一瞬
函館中央警察署 女性職員
作者の心情  誰でも失敗をするもの。一生懸命した結果、起きてしまったしくじりは、必ずリカバリーできる。
 その時、批判を受けたとしてもそれは、長い人生の一瞬で、隠さず周りに相談することが大切であると日々思いながら、仕事に取り組んでいる。
講評  真剣に取り組んだ結果の失敗は、何もせずいるより、自分を成長させていることに自信を持って活動することの大切さを認識させられた。


函館方面本部所属長賞
窓口で たまに言われるありがとう それが私のやる気スイッチ
函館西警察署 男性職員
作者の心情  窓口業務に慣れ行動一つ一つが若干流れ作業のようになり、淡白な対応をすることがあるが、ありがとうを言われることで、親身になって対応しようとやる気が出たときに思ったことです。
講評  窓口業務は、毎日同じ仕事の繰り返しで、慢性に流されがちであるが、一般の方からの感謝の言葉でその仕事の重要性を再認識し、やる気が出るとの歌であり、全ての窓口担当職員が仕事に誇りをもって取り組んで欲しいとの思いから選考した。


函館方面本部所属長賞
敬礼し 笑顔見せる子供達 未来のために今日も闘う
函館方面本部函館機動警察隊 女性職員
作者の心情  警ら中、笑顔で敬礼をしてくる子供達を見て、この子達が悲惨な交通事故に遭わないように頑張ろうという気持ち。
講評  明るい子友達から挨拶を受け、子供達の為に頑張ろうという気持ちがストレートに伝わってくる。
 明るい気持ちになり、分かりやすい。


函館方面本部所属長賞
誰しもが 嫌がる仕事積極に それが自分の限界伸ばす
函館中央警察署 男性職員
作者の心情  人がやりたがらないような仕事を自ら積極的に行うことにより、自分を成長させることができるので、日頃から積極的に取り組むようにしています。
 また、警部補として、何事にも積極的に取り組む姿勢を部下に示すことで範を示すようにしています。
講評  単調な作業や面倒な仕事、時には汚れ仕事もあるところ、率先して取り組む姿は同僚、部下、後輩たちへの良き手本となるものと思います。頭の下がる思いです。


函館方面本部所属長賞
警察官 陰で支える事務職も 心に手帳使命は1つ
函館方面本部会計課 男性職員
作者の心情  警察官は、そのシンボルである警察手帳を全員持っていますが、一般職は何も持っていません。
 しかし、同じ組織の一員として目指す使命は一緒であり、胸の中には熱い想い=心の警察手帳を持ち、警察職員として国民に貢献する決意を詠いました。
講評  事務職員の皆さんの仕事は「縁の下の力持ち」といった位置付けのものが多いですが、道民の生活の安寧を守りたいという使命感は職種を超えて共有されているのですね。
 その心意気に勇気をもらいました。ありがとうございます。


函館方面本部所属長賞
早起きで 自前弁当作る日々 今日も鮭かな明日も鮭かな
函館方面本部監察官室 男性職員
作者の心情  単身赴任先で弁当を作る日々が既に通算8年目を超えている。
 弁当のおかずは、何にししよう?
 お金にいとめを付けなければ悩む必要もないが、贅沢もできずせめて一番好きな鮭をと思う日々・・・・。
 それとて、飽きがくるのであります。
講評  家族と離れて生活していても、早起きして職務に取り組んでいる姿が目に浮かびます。
 多くの職員が同じように頑張っている感じが伝わり、選ばせて頂きました。


函館方面公安委員会特別賞
聴き入りし 少年院に居る子らの 心の傷に寄り添える声
函館方面本部 女性職員
作者の心情  付き合っていた人からの壮絶な暴力から生き延びたデートDVの「☆さん」(被害者、サバイバー)でもあるNPO法人レジリエンス代表の中島幸子さんは、年に数回全国各地の少年院で講話をされています。
 少年たちは食い入るように幸さんの話を聴き、質疑応答では溢れんばかりに質問をするそうです。その時の情景を思い浮かべて詠んでみました。
講評  将来を担っていくはずの子どもの心の傷が癒えて欲しいと願います。


函館方面公安委員会特別賞
我が親は 変わり得るかと問う子らの 張り裂けそうな心の叫び
函館方面本部 女性職員
作者の心情  NPO法人レジリエンス代表の中島幸子さんは、少年院の子どもたちに伝えています。
 「ここを出たら、三つのことをできる人になってほしい。『ありがとう』が言える人、『よろしくお願いします』が言える人、困った時に安心出来る大人に相談できる人。」すると少年たちから沢山の質問の手が上がります。
 「『安心できる大人』には、どこに行けば会えますか」、「僕のお母さんは、いつか『安心できる大人』になってくれると思いますか」子ども達からの切実な問い掛けを詠んでみました。               
講評  親を選べぬ立場にいる「子」の悲しみの吐露が聞こえてくる作品でした。
 やるせなく胸が詰まりました。








特別賞
 「人生の道しるべ」短歌コンテストを開催するにあたり、市民目線で短歌を審査していただくため、国際啄木学会評議員の櫻井健治氏に部外審査員をお願いいたしました。
 
櫻井 健治

1947(昭和22)年函館市生まれ。
東海大学文学部を卒業後、函館市役所に勤務。

教育委員会生涯学習部長、市民部長、商工観光部長を歴任し、2008年3月退職。
函館市文学館の設立に携わる。
 



特別賞 金賞
聴き入りし 少年院に居る子らの 心の傷に寄り添える声
函館方面本部 女性職員
作者の心情  付き合っていた人からの壮絶な暴力から生き延びたデートDVの「☆さん」(被害者、サバイバー)でもあるNPO法人レジリエンス代表の中島幸子さんは、年に数回全国各地の少年院で講話をされています。
 少年たちは食い入るように幸さんの話を聴き、質疑応答では溢れんばかりに質問をするそうです。
 その時の情景を思い浮かべて詠んでみました。
講評  少年院での講話の情景を実に見事に詠いあげた秀作であります。
 特に結びの句となる、「心の痛みに寄り添える声」の表現は、容易に出てくる言葉ではなく、読み手に対し、作品全体を通して大きな感動を与えてくれる効果的役割を果たす一言になっているといってよいでしょう。




特別賞 銀賞
妻の身に 宿った命の責任を 感じて思う誇りと決意
森警察署 男性職員
作者の心情  第三子の出産を間近に控え、自分自身、家族が増えるうれしさの反面、家族を守る責任や家族が増えることの不安を感じているが、弱気な自分を奮い立たせるため、3児の父としての責任を背負い、警察官としてより一層の仕事への誇りを胸にし、警察業務に献身する決意を短歌にしました。
講評  妻の身に宿った尊い生命に対し、大きな喜びと期待を持つ一方で、夫として父親として担わなければならない努めと責任といったものが素直に詠われており、作品全体から逞しい力強さが伝わってくる作品です。




特別賞 銀賞
我が親は 変わり得るかと問う子らの 張り裂けそうな心の叫び
函館方面本部 女性職員
作者の心情  NPO法人レジリエンス代表の中島幸子さんは、少年院の子どもたちに伝えています。
 「ここを出たら、三つのことをできる人になってほしい。『ありがとう』が言える人、『よろしくお願いします』が言える人、困った時に安心出来る大人に相談できる人。」すると少年たちから沢山の質問の手が上がります。
 「『安心できる大人』には、どこに行けば会えますか」、「僕のお母さんは、いつか『安心できる大人』になってくれると思いますか」子ども達からの切実な問い掛けを詠んでみました。               
講評  親子逆の立場とも言える子どもの親に対する計り知れない不信感が「張り裂けそうな心の叫び」の表現によって、読み手の心に痛いまでに伝わってきます。
 作品全体から臨場感があふれており、切なさを感じるとても印象的な出来栄えの作品です。



特別賞 銅賞
思い出せ あの日の記憶あの涙 今を支える確かな軌跡
函館西警察署 男性職員
作者の心情  過去の失敗や経験が今の自分を支えていて、その経験が今後確かな軌跡を描き、人生を豊かにする。
講評  過去に自らが経験したような出来事、場数を踏んだ経験の積み重ねが、自らを研鑽し、今の自分があることを冷静にとらえて詠ったもので、職務に対する謙虚な取組姿勢に好感を持つことができる作品です。



特別賞 銅賞
上司との きずな確かめ涙した 熱き思いを部下に今こそ
寿都警察署 男性職員
作者の心情  過去にとある上司の下で勤務したときのこと。係のみんなが同じ方向を向いて、一心に仕事をしていたその当時、とても充実して勤務に打ち込むことができた。同じ苦楽を共にしたその上司が離任する際、人目もはばからず二人で肩を抱き合い涙を流す程であった。今は自分が上司の側となり、かつて自分が経験したあの感覚を、次代に継いで行かねばならない。
講評  職場における上下関係の中での得がたい人間関係を、自分一人だけのものとして留めておくのではなく、しっかり部下にも継承していこうという熱き思いがあふれております。「絆」という一言で双方の信頼関係が如何に強いものであったかが伝わってきます。



特別賞 銅賞
任地より 帰りて過ごす団欒の 家族の笑顔力と換わる
函館方面本部監察官室 男性職員
作者の心情  今春から函館に単身赴任となり、家族と離れて暮らすことになりましたが、休暇などで自宅に帰り、家族の笑顔を見ることで、改めて、家族のありがたみを感じました。
 家族の笑顔を絶やさないためにも仕事を頑張ろうという気持ちを短歌にしました。
講評  赴任先から久しぶりに帰宅して、家族の笑顔を見ての安心感、家族のほのぼのとした暖かさが直接伝わってきます。そうしてホッとした気持ちの中にも、自らの職務に対する使命感を思うとき、家族こそが自らを支えてくれるパワーの源であることが、巧みに詠いあげられております。


特別賞 佳作
原石が 津軽の波に磨かれて 治安の星と今輝かん
函館方面本部函館機動警察隊 男性職員
作者の心情  私は卒配で函館に勤務し、最初は何もできなかったが、その後、長期間、函館で勤務して現在の自分がある。
講評  「原石が」「磨かれて」「今輝かん」原石が輝きを放つようになる為に大きな役割を果たすことになったのが「津軽の波」であったという。一見たわいもない歌のように思えますが、「津軽の波」と使ったのが成功し、全体を実に生き生きした作品にしております。


特別賞 佳作
「ありがとう」 その一言が背中押す 誇り忘れず明日の平和を
函館中央警察署 男性職員
作者の心情  道民からの感謝の気持ちを力に変えて、警察官としての誇りを忘れることなく、道民の明日を守ろうという思いを作品にしたもの。
講評  淡々と詠まれた作品でありますが、「その一言が背中押す」の何とも言えない力強さが、歌全体の基調を高め、自らの訴えたい気持ちをズバリ表現した魅力ある作品です。


特別賞 佳作
古戦場 平成の地の防人は 五稜に集いし道南の雄
函館方面本部地域課 男性職員
作者の心情  日本国内における最後の戦となった箱館戦争で旧幕府が最後の砦としたのが五稜郭である。
 時代の移り変わりとともに犯罪形態は変化していくが、平成における道南の治安は同じ地に函館方面本部を構える、我々が守らなければならない。
講評  150年前に終結した戊辰戦争(箱館戦争)の舞台(古戦場)を、うまく歌の背景に取り込み、「平成の防人は道南の雄」であるという警察官としての誇りと責任感が素直に伝わってきます。読み手の心が、緊張して何かしらビシッと打たれる作品と言ってよいでしょう。


特別賞 佳作
道民の 笑顔のために悪を討つ 誇りと使命と正義を胸に
函館方面本部函館機動警察隊 男性職員
作者の心情  我々は、道民の為に悪に負けない強い志を持った警察官であるべき事を表現した。
講評  警察官として持つべき使命感、あるいは心得といったものをしっかりととらえ、制服を着て机に向かいながら詠いあげられた様な作品で、文句のつけようがありません。何となく作者に対して敬礼と拍手を贈りたいという、そんな衝動にかられた作品です。










奨励賞
電話口 「死にたい」の声引き留めて 確保の一報イスに崩れる
函館方面本部地域課 男性職員


奨励賞
聞き込みで 頑張ってねと励まされ 市民の期待いかに守らん
函館方面本部捜査課 男性職員


奨励賞
切符きり 嫌みを言われ耐え忍ぶ 交通事故が無くなるために
函館方面本部函館機動警察隊 男性職員


奨励賞
巡回の 靴音響く留置場 逃がしはしないと決意も新たに
函館中央警察署 男性職員


奨励賞
定年を 間近にひかえ決意する 街を守るぞ最後の日まで
函館中央警察署 男性職員


奨励賞
おまわりさ〜ん!笑顔で手を振る子供たち 我が職責のおもさ知りたり
函館中央警察署 男性職員


奨励賞
道民の 平和を守る交番は 昼も休まず夜も眠らず
函館中央警察署 男性職員


奨励賞
産休で 制服脱ぐが警察の 心忘れず我が子をあやす
函館中央警察署 女性職員


奨励賞
目の前で 息を引き取る被害者を あふれる思い事故の悲惨さ
函館中央警察署 男性職員


奨励賞
被害者が 流した涙胸刻む さらに刻みし被疑者の涙
函館中央警察署 男性職員


奨励賞
これだけは 何があっても忘れない 「罪を憎んで人を憎まず」
函館中央警察署 男性職員


奨励賞
聞き込みで 家主に刑事と間違われ 気分は刑事夢は白バイ
函館中央警察署 男性職員


奨励賞
朝の陽と 夜の電気が光る街 我が新天地函館の街
函館中央警察署 男性職員


奨励賞
夢追って はるばる来たぞ函館に 故郷は違えど守るは同じ
函館西警察署 女性職員


奨励賞
疲れてる 署員を癒やす1枚を 笑顔で交付給与明細
森警察署 女性職員


奨励賞
「パトカーに 乗ってるパパはかっこいい」 戦う理由はそれで十分
八雲警察署 男性職員


奨励賞
駐在所 初めて勤務意気揚々 目指せ頼れるおまわりさん
木古内警察署 男性職員


奨励賞
道に迷い 心身削り金銭求む 少女の更生切に願う
松前警察署 女性職員


奨励賞
妻と子の 寝静まるころ帰る夜に 思うは家族と地域の平和
江差警察署 男性職員


奨励賞
落とし物 見つけて受けるありがとう やりがい忘れぬ魔法の言葉
寿都警察署 男性職員